1930年後半から80年超にわたり

成人の生活を追い続けているハーバード大学の長期研究があります。

この研究によって明らかにされたのは、

良好な人間関係こそが幸福と健康の秘訣だということでした。

私たちが幸せな人生を送るために重要なのは、友人の数でもなく、

お付き合いしている人がいるかどうかでもなく、近しい関係性における

関係の質こそが大切だということがはっきりとしたのです。

– 近ければ近いほど難しい –

私たちが全くの第三者とコミュニケーションを取る時、そこに「他人」として明確な線引きをしますよね。

それによって「あなたはあなた。私は私。」と現実を冷静に捉えることが比較的容易となります。

もちろん、第三者であっても、攻撃されたと感じる言葉を投げかけられたり、その言動によって内側の傷がうずき、感情が波立つ事はあります。

しかし、そこでセルフコントロールをすることも、相手との距離も取りやすいため、やはりコミュニケーションは比較的容易になるのです。

一方、血を分けた家族、溶け合いたいと願うほど愛する相手、となると、どうでしょうか？

途端に相手との線引きが難しくなりませんか？

つい相手を思い通りに動かしたくなったり。

失いたくないと思うとつい相手のわがままを許してしまったり。

自分のコンプレックスを相手の中にも見つけやすかったり。

「相手との線引き」が難しいこの状態。

これを境界線の越境といいます。

物理的、そして感情的にも、距離感を掴むのが難しいのが近しい関係。

加えて、そこでは往々にして、

一見すると個人 vs 個人 の対話に見えるものに、家族や親戚、

社会など、様々な要因が絡んだ複雑さがみられることが多いものです。

そう。近しい関係性のコミュニケーションで苦労するのは当然なのです。

自分を抑え、妥協するのなら話は楽。

しかし、表面だけ穏やかに振舞っても、

やはりそれは真の調和とは程遠く、

私たちの内側は決して平和にはなりません。

NVC道を歩み始めた今、自分の本物さを犠牲にした関係性なんて、

あなたの欲しいものではないですよね？

– 互いの安全基地になる –

あなたが最も安心してあなたらしくいられる場所。

それが近しい関係性に実現できたら、どれだけあなたは輝けるでしょうか？

あるがままを受け止めてもらえる場所がある。

どんなに失敗しても、あそこに帰れば安心できる。

困ったら助けてくれる誰かがいる。

人は、そんな安全基地を持っている時に、最大限の創造性と自己表現力を発揮します。

先のハーバード大学の研究で明らかにされたのは、まさに、そんな安全基地の存在が、私たちの幸せと健康の要だということだったのです。